羽生善治さんの集中力と直感力
羽生善治さんを紹介したDVDを観た。『NHKのプロフェショナル仕事の流儀』だが、特典につけられた放送しなかった1時間あまりの対話がたいへんためになった。
勝負師というのは、その集中力や直感作法において学ぶことが多い。
コンサルタントをやっていても、教師をやっていても、勝負師と通ずるものを感じている。
対戦するわけではないが、高い緊張をもって対峙し結果を即座に出す必要があるという意味で、常に臨戦であり、一挙手一投足が成果に反映する。
いつも楽しいかと言われると楽しいばかりではないが、楽しい部分が大きいから持続できているのだろう。
羽生さんは淡々としている。30代をすぎてそうなったと言う。20代は先を読み尽くす覚悟で対戦した。徹して理性で解決した。
勝ち負けとは読み切れるかどうか、ということだろう。
30代は記憶力においても処理力においても陰りを感じたという。性能では勝てなくなった。若くして高い性能を持って世の中に出た人だから、自分の存在を否定したい気持ちだったろう。
30代は感性の対決になった。感性とは複雑な変数の一斉処理を言う。言語化せずに、潜在意識下で一瞬に処理する。直感であり集中力だ。
集中には心理的安定が必要になる。感情をあらわにすると潜在意識を呼び起こしにくくなる。だから対戦の際、千駄ヶ谷の将棋会館に生き返りするパタンを固定にした。雑事を減らした。
雑念は拘泥すると逆効果なので自然にまかせ、かまわぬ姿勢にした。対戦はいつも数分前に会場に到着しすぐさま対戦に入る。雑念を無くす工夫だ。
玲瓏という、白居易の長恨歌に出てくる、玉のような透明感を表す言葉で自分の心理を表現していた。
集中には単純作業がいい、扇子をたたむ所作は集中のためだ。
集中できない日もあるという。その時は無理をしない。力がかろうじて切れないようにつなぐ。少しづつ集中力を紡いでいると相手から集中する意欲をもらうことがある。
玲瓏な状態は直感がよく働く。直感もまた好みに任せるという。好きなものが答えであることが多い。
わあ、ここまで書いていてよくわかった。
結果、一言で言えば自然体ということだ。
自然体になることだ。
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コメント
ABSでお世話になります。
私も羽生さん大好きです。上記拝見して、特に『集中には心理的安定が必要になる。感情をあらわにすると潜在意識を呼び起こしにくくなる』が特に印象に残りました。私も直感重視型ですが、どんどん脳をフル回転させてこそ、直感力が増すというような感覚も持っていました。
一度自分自身も心を清める、そのために何をすべきか考えることができました。
投稿: さわとん | 2007.10.22 11:34
羽生さんが対戦中に見せるひどく苦悩する表情が自然体であることをすばり表現していると思うね。
考え抜くことは力のいることだし辛くて逃げ出したくなることもあるからね。
投稿: 末吉孝生 | 2007.10.21 15:59
こんにちは。来期absの講座を受講させていただく(かもしれない)藤舘(フジタテ)と申します。羽生さんの話をされていたので思わず書き込みたくなりました。私も羽生さんのファンです。漫画で「月下の棋士」というのがありましたが(ご存知でしょうか?)、あの主人公は羽生さんをモデルにしているそうです。勝負している時とそうでないときとのギャップ。
つい二月ほど前、私の会社で羽生さんを招待して公演をしていただきました(武蔵小杉です)。以前からテレビなどで拝見はしていましたが、やはりあの通りまったく飾らないというか、もっと言うとオーラがまったく感じられない!あれだけ偉大な成績を残されている方でこれは逆に非常に不思議です。それだけ自然体でいらっしゃるということなのでしょう。自然体であるということはそれだけ自分に対して自信があるということなのでしょうか。これからもぜひ活躍していただきたいと思います。
投稿: 藤舘卓也 | 2007.10.16 02:08